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「オーケストラ!」 [映画]

かつて天才指揮者と謳われたアンドレイも、今は劇場の清掃員に落ちぶれていた。ある日、偶然、パリのシャトレ座から届いた出演依頼ファックスを手にした彼は、ボリショイ交響楽団に成りすますことを思いつくが・・。

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30年前、時の権力者の手でばらばらにされた団員たちを呼び寄せ、即席の交響楽団としてパリに乗り込もうというあり得ない物語。なのに、不思議と共感でき、彼らが繰り広げるどたばた劇に引き込まれます。

個性的かつ芸達者な出演者たち、赤の広場から花の都パリへと舞台を移すロケーション、繊細かつ力強い演出、悲しい秘話をベースにしつつロシアやヨーロッパの今をユーモラスに皮肉る脚本の、すべてが素晴らしいです。

また、過去に突然、音楽家としての地位や暮らしを奪われながらも、しぶとく逞しく生きてきた寄せ集め楽団の面々が、なんとも魅力的。今回のパリ行きにしても、ただ飯ただ酒付きのただ旅して日当を貰い、ついでに小金も稼ごうというのだからスゴイ。

大義などなく、それぞれの”理由”でパリに来た楽団だからこそ、彼らのコンサート・シーンは、スリルと感動に満ち、必ずや観る者の心を揺さぶるはず。ラスト20分は、何度観ても飽きません。

クラッシックの名曲の数々に民族音楽がマッチした、サウンドトラックもナイス。観ればきっと元気が出ます!★4.5

オーケストラ! スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]

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  • 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
  • メディア: DVD



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死刑囚 [ミステリ小説]

フィンランドのトゥルクからストックホルムへ向かう客船内で、暴行事件が起きる。ストックホルム市警のグレーンス警部は、船から消えた容疑者を逮捕するが・・。

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自宅へ戻っていたところを、あっけなく捕まった容疑者ジョン・シュワルツ。挙動が不審な彼のパスポートには偽造された形跡があり、更に調べを進めると、ジョンはすでに死亡したはずの、アメリカ人死刑囚だったことが判明します。

ジャーナリストと元受刑者コンビ共著の、エーヴェルト・グレーンス・シリーズ第3弾。内容や描写がリアル過ぎ、読み終えた後は必ず落ち込むと分っていながら、つい手にしてしまうのは、主要登場人物たちの強烈な個性ゆえ。

特に、60年代女性歌手のテープを仕事場でも大音量で流し、尊敬に値しない人物と思えば上司といえど噛み付きまくる、そんなわが道を行くグレーンス警部には惹かれます。

毎回、衝撃的な事件の中にスウェーデンが抱える問題を織り込み、問いかけてきますが、今回は死刑制度。その是非云々ではなく、自分のような無関心層も思わず考えさせる筋立てが見事。★3.5
(画像は、ジョンがロシアへ移送されたブロンマ空港)

死刑囚 (RHブックス・プラス)

死刑囚 (RHブックス・プラス)

  • 作者: アンデシュ ルースルンド
  • 出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン
  • 発売日: 2011/01/08
  • メディア: 文庫



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ラスト・チャイルド [ミステリ小説]

13歳のジョニーは、この1年間、誘拐されて行方の知れない双子の妹アリッサを探し続けている。ある日、偶然遭遇した殺人事件の被害者から、「あの子を見つけた」と告げられるが・・。

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「あの子」がアリッサだと信じ、ますます独自の捜索にのめり込んで行くジョニー。しかし、町では最近、別な少女誘拐事件が起きていて、大人たちは、今現在行方不明の女の子を指すと考え、誰もジョニーの話に取りあいません。

なぜ13歳の少年が、ひとりで事件を追っているのか。その理由が徐々に明らかになるにつれ、相反する感情の間を行ったり来たりすることになります。ジョニーに同調する自分と、認めがたい自分との狭間で。どちらにしても切ないです。

とにかく、本作全編が切ない。アリッサの事件が呼び寄せたさまざまな出来事と、それに翻弄され、今も苦しみ続ける人々の描写は、ミステリー小説の枠を超えて、読者の心に訴えかけてきます。

とは言え、推理小説としても素晴らしく、謎の糸口を見つけたかと思うと、そこには次なる謎が待っていて、本を置くことが出来なくなります。また、読者の意表を突く展開も見事。思いがけず、読後感も爽やか。お薦めです。★4.5
(画像は、ジョニーがアリッサを探し続けたノース・カロライナ州の山林)

ラスト・チャイルド(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ラスト・チャイルド(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 作者: ジョン・ハート
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/04/30
  • メディア: 文庫



ラスト・チャイルド(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ラスト・チャイルド(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 作者: ジョン・ハート
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/04/30
  • メディア: 文庫



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「命の相続人」 [映画]

疼痛科で働くディエゴは、医師としての情熱を失い、家族すら重荷になっていた。そんなある日、患者のひとりサラが、鎮痛剤の過剰摂取で搬送されて来る。

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意識不明のサラは妊娠しており、危険な状態の母子になすすべもないディエゴ。しかし、ふたりを救うよう強く迫り、サラの恋人が目前で命を絶った直後から、彼の周囲で不思議な出来事が起り始め・・。

間もなく、自分が手にした”ギフト”に気づくディエゴ。医療の限界を痛感し、悩み、諦め、あらゆるものと距離を置き、行き場を失っていた彼が、ふたたび温かい力に満ちていきます。重苦しい物語にファンタジー要素を絡めた、起伏に富んだ脚本が秀逸。

また、”ギフト”に翻弄される医師ディエゴの、内面の微妙な変化を主演エドゥアルド・ノリエガが好演。いい役者さんになりました。助演陣もみな素晴らしく、ひとつ間違えばキワモノになりかねない作品に説得力を与えています。

観る者の情感に訴えかけ、考えさせ、驚かせ、涙させるけれど、後味さわやかな良品。★4.5

命の相続人 [DVD]

命の相続人 [DVD]

  • 出版社/メーカー: オンリー・ハーツ
  • メディア: DVD



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しもやけとラベンダー [アロマテラピー]

みちのく仙台の、今年の寒さは格別です。雪が降らない分、冷え込みがきつく感じられます。そのせいか、足の指先がしもやけに・・。痛いです。痒いです。でも大丈夫。ラベンダーがあるから。

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しもやけを治すには、たらいに適温適量のお湯を入れ、ラベンダーのエッセンシャルオイル(精油)を数滴たらしたら、患部を浸けるだけ。

私は、2日連続の足湯で、結構進んでいたしもやけが完治。個人差はあるでしょうが、初回から効果が実感できるのが嬉しくも素晴らしいです。

ラベンダーは、初心者にとっても扱いやすい、直接肌につけても大丈夫(要パッチテスト)な、数少ない精油。だから足湯は、心地いいと感じる香りで行いました。湯の温度も、浸け時間も、お好みでいいと思います。じっくり温まりたい場合は、ポットに沸かしたお湯を準備して注ぎ足せばOK。

ラベンダーという心強い味方があるとしても、できればなりたくないのがしもやけ。原因となる、血行不良、水分、ビタミン(E)不足の改善を目指します。
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「サイモン・ベイカー 結婚の条件」 [映画]

静かな町で暮らすデイブとエレインは、何気なく立ち寄ったアイスクリーム店で働く高校生チェットと知り合う。子どものいない夫婦と、片親の少年は、互いに友情を抱きあうが・・。

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倦怠期に差し掛かった夫婦と、孤独な思春期の少年とが織りなす危うい関係を、日常生活の中で淡々と、でも丁寧に描いていく手法が秀逸。登場人物も出来事も、非常に身近に思えてきます。話に引き込まれます。そして、起るべくして起きる過ち。

その後は、三人三様の思い、決断、行動を、自分だったらどうするだとう・・とついつい比べてしまい、傍観者ではいられなくなります。

人生って何だろう、結婚って何だろう、幸せって、正しい選択って・・と考えさせられる、けれど決して辛すぎない小品。★3
(蛇足ですが、サイモン・ベイカーはTVドラマ「メンタリスト」で大ブレイク中の俳優)
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「マイ ドッグ スキップ」 [映画]

ミシシッピー州ヤズー。ひとりっ子で内気な性格のウィリーには友だちがいない。そんな息子を心配した母エレンが、誕生日にプレゼントしてくれた子犬スキップは、たちまち少年の無二の親友になる。

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ウィリー・モリスの同名小説「マイ・ドッグ・スッキプ」を映画化した作品。作者の少年時代を綴った実話です。
家でひとり、本を読んでいるのが好きだったウィリーがスキップと出会い、まるで子犬に導かれるように共に成長していく姿を、1940年代のアメリカ南部の片田舎を舞台に描いています。

彼らの、出会いから別れまでのエピソードのひとつひとつが素晴らしいです。原作、脚本は勿論のこと、出演陣がいい味出してます。

特に、ウィリーの父親役ケビン・ベーコン。彼が息子と語らうシーンは全て心に残ります。母エレンを演じたダイアン・レインも、文句なしの出来。そして、語り部役ハリー・コニックJr.の深みのある声が、なんとも素敵。

少年と愛犬の成長物語に止まらず、戦争の酷さ、生と死、当時まだ色濃くあった人種差別なども織り込んだ、珠玉の小品。心がほっこり温まります。是非お子さんと観て欲しい、愛犬家にも、そうでない方にもお薦めの1本。★4.5

マイ・ドッグ・スキップ [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
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「シスタースマイル ドミニクの歌」 [映画]

1950年代後半のベルギー。パン屋を営む母親との不和から家を飛び出したジャニーヌは、アフリカでの伝道活動を夢見て修道院へ入るが・・。

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♪ドミニク、ニク、ニク~♪というフレーズと親しみやすいメロディーは、ある年齢以上の方ならきっと聴いたことがある、それくらい世界中でヒットした曲を作り歌ったのが、ベルギーに実在した修道女だったと知り、軽い気持ちで視聴。結果、落ち込みました。

本作の出来が悪いのではありません。テンポ良く、最後まで引っ張っていくパワーがあり、主演セシル・ドゥ・フランス始め出演者も粒揃いで、1960年代の雰囲気も素敵です。

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ただ、美しい歌「ドミニク」の誕生までを描いたお話・・と思い込んで観るとへこみます。これは稀代のヒット曲ではなく、一途に愛と自由を求め続けたジャニーヌの物語。

自分の感情に正直すぎて、しばしば頑なに我を通す彼女の姿は、多くの女性にある日の自分を想起させるはず。だから共感もし、反発もしてしまいます。実話を基にしたフィクション・・というのが正しそうですが、否応なしに観る者を考えさせる作品。★3.5

シスタースマイル ドミニクの歌 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: オンリー・ハーツ
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「心霊探偵 ホーンテッド」 [映画]

誘拐事件を捜査中だった私立探偵のフランクは、犯人ともみ合い重症を負う。一命はとりとめたものの、臨死体験後に得た、特殊な能力に戸惑いを隠せない。

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死線を彷徨い、生還したら霊が見えるようになっていた・・という、特に目新しくない設定。ただ、特殊な能力を本人が持て余している段階なので、結構スリリングです。また、フランクと敵対し、悪意を持って立ち塞がる霊の存在がユニーク。

本作はTVドラマらしく、一話ごとに完結はするものの、フランクから家族を奪った事件の結末や、彼と元妻の今後など、一件落着ではないので後ろ髪引かれます。ああ、それなのに、1シーズンもたずに打ち切りになったドラマだそうな。

たった2話ですが、斬新なアイディアはありませんが、「LOST」マシュー・フォックスの演技には好感が持て、妻役リン・コリンズ(特に瞳)の美しさだけでも観る価値ありかと。心霊ものとしても、合格点の★3.5ってことで。
どうも、Ⅱ、Ⅲと続きがあるようですね。よーし。

マシュー・フォックス/心霊探偵 ホーンテッド I [DVD]

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  • 出版社/メーカー: インターフィルム
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「フィリップ、きみを愛してる!」 [映画]

ひょんなことからゲイをカミングアウトしたスティーヴンは、恋人を喜ばせようと詐欺を重ね、ついには刑務所へ。しかしそこで、運命の相手フィリップと出会う。

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主人公スティーヴンは、IQ169の天才詐欺師・・というよりは、一途な勘違い男・・といった感じ。幼少時のトラウマからか、恋人への愛の証が贅沢(=金)と信じ込んでいて、結果的に詐欺を重ねますが、その辺の描写は単調。

見所は、誤解されたまま引き離されたフィリップに、真実を告げようと脱獄を繰り返すシーン。テンポがいいので笑って流してしまいますが、最後に見事などんでん返しがきます。
元妻役レスリー・マンとの関係が心和ませ、ユアン・マクレガーのゲイ演技も合格点で、まあまあ楽しんだかな~と結論した後に「えっ?」。

なんとこれは、掛け値なしの事実を基にした映画で、スティーヴンもフィリップ(本名!)も実在し、描かれていることは全て実際に起きたこと・・と知ると、見方が変わりますね。本作に・・というより、スティーヴンさんに★5つ!


フィリップ、きみを愛してる! [DVD]

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