SSブログ

ラスト・チャイルド [ミステリ小説]

13歳のジョニーは、この1年間、誘拐されて行方の知れない双子の妹アリッサを探し続けている。ある日、偶然遭遇した殺人事件の被害者から、「あの子を見つけた」と告げられるが・・。

140.jpg

「あの子」がアリッサだと信じ、ますます独自の捜索にのめり込んで行くジョニー。しかし、町では最近、別な少女誘拐事件が起きていて、大人たちは、今現在行方不明の女の子を指すと考え、誰もジョニーの話に取りあいません。

なぜ13歳の少年が、ひとりで事件を追っているのか。その理由が徐々に明らかになるにつれ、相反する感情の間を行ったり来たりすることになります。ジョニーに同調する自分と、認めがたい自分との狭間で。どちらにしても切ないです。

とにかく、本作全編が切ない。アリッサの事件が呼び寄せたさまざまな出来事と、それに翻弄され、今も苦しみ続ける人々の描写は、ミステリー小説の枠を超えて、読者の心に訴えかけてきます。

とは言え、推理小説としても素晴らしく、謎の糸口を見つけたかと思うと、そこには次なる謎が待っていて、本を置くことが出来なくなります。また、読者の意表を突く展開も見事。思いがけず、読後感も爽やか。お薦めです。★4.5
(画像は、ジョニーがアリッサを探し続けたノース・カロライナ州の山林)

ラスト・チャイルド(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ラスト・チャイルド(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 作者: ジョン・ハート
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/04/30
  • メディア: 文庫



ラスト・チャイルド(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ラスト・チャイルド(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 作者: ジョン・ハート
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/04/30
  • メディア: 文庫



nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

トラックバック 0

「命の相続人」死刑囚 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。